2017年2月24日金曜日

世界地誌か何かの答案

管理人が大昔に書いた世界地誌か何かの解答です。一部内容が切れたりしていますがおそらく仕様です。テストレポート等ご自由にお使いください。なお、これで単位を落としただのなんだのの苦情は受け付けませんのであしからず。



サンベルトとフロストベルト、アメリカの地域構造
アメリカの工業は植民地時代から19世紀まで森林の存在するアパラチア山脈付近の北部地域に立地しており、製鉄や造船を中心としていた。19世紀から20世紀の初頭にかけて、自動車産業が五大湖を中心に立地した。この伝統的工業地帯が1970年代以降サンベルトと呼ばれる地域と比較して、影響力、政治力が衰退しているのでフロストベルトと呼ばれるようになった。また、この時期、保守的な共和党支持者、プロテスタントは北部に集まっており、政治の中心は北部であった。第二次世界大戦以降は航空産業が西海岸に立地した。1970年代になるとエレクトロニクス産業が、1980年代にはIT産業が、1990年代にはバイオテクノロジー産業がおこり、新たなる、労働組合の弱い地域として南部に立地した。また、南部は1970年代以降の中西部の農業大規模化し、ピッグス湾事件をはじめとする各種戦争によって防衛産業が発展したため、比較的保守的な軍事関連の人々と防衛産業に従事する労働者が集まり、それに加えて、北部の比較的保守派の引退者が南部の暖かい気候を求めて南部へ移住したため保守化した。アメリカの下院選挙は人口比率によって、各州に議席が割り振られるため、人口が増加した南部は、政治的にも力を持った。この共和党支持者が多い地域を指す言葉としてサンベルトが使われるようになった。また、政治的に力を持った南部の意向を無視してアメリカの国政を動かすことは不可能となった。また、この人口移動では、保守的なキリスト教徒が北部から南部へ移動している。こうして1970年代からアメリカの政治経済の中心は北部から南部へ移っていた。


地名が地域を考えるうえで持つ意味
地名が地域を考える上で持つ意味では大きく4あげられる。一つ目はその土地の歴史的由来が理解できるこちである。例えば、ブレスト・リトフスクであれば、「sk」の部分がロシア語で城を意味し、ブレスト・リトフスクにかつてより城砦があったと理解できる。二つ目はその土地の地形が地名からわかることである。例えば、フランクフルトであれば、「furt」の部分が渡しを意味し、フランクフルトが川に面しているということがわかる。三つ目は現地の住民のアイデンティティのありどころが理解できることだ。すなわち、地名の中にはその地域の美称や英雄の名前にちなんだ地名がつけられている場所があり、それの地名が住民のアイデンティティの一部を構成している場合がある。そのため、地名を考えれば、彼らのアイデンティティの一部が理解できる。四つ目は他者、他国からのその地域に対するスタンスが理解できるということである。これの身近な例として千島列島があげられる。千島列島はロシア語ではクリルと呼ばれており、日本語の千島列島と呼ばずクリルと呼ぶことでロシアの千島列島領有を肯定しているのである。



国家を地誌の記述単位として扱うことの意義と問題
国家の地誌の記述単位として扱う意義は、国家がある程度の完結性を備えており、扱いやすいからである。欧米列強を中心とする近代国家は、それぞれの国家で国家アイデンティティを保有しており、また、単一民族が多数派を占める場合も多い。そのため、国家を記述単位とすることにより、ある程度の塊として地誌を扱える。たとえば、アジアといった記述単位で地誌を扱うとなると、アイデンティティ、気候、民族、アイデンティティのあり方などまったく違う集団を扱うことになり、その地誌を記述することは容易ではない。国家を記述単位として扱う問題点は二つあげられる。1つ目はクルド人など複数の国家に分かれたり、数が少なかったりしながら、民族としてのアイデンティティを維持している少数民族が無視されることとなる点である。国家を記述単位として扱うということは、主要民族が全面的に押し出され、少数民族に関する記述は必然的に少なくなってしまう。もうひとつの問題点はナイジェリアのように数多くの民族を内包している国家では、国家的アイデンティティを見出せないため、民族に関する記述が困難になってしまうという点だ。