2017年2月23日木曜日

Rote Flieger (Roter Luftfloten March) ―赤色航空兵(赤色航空艦隊行進曲)

作曲:ユーリ=ハイト、ドイツ語作詞:フォン=ヘルムート=シュンケル

1.
Wir sind geboren, Taten zu vollbringen,
zu überwinden Raum und Weltenall,
auf Adlers Flügeln uns empor zu schwingen
beim Herzschlag sausen der Motoren Schall.
我らは生まれてきた、成し遂げるために
空と世界すべてを打ち負かすことを
鷲翼のさらに上へと飛び立つことを
エンジンの轟音は鼓動ともに鳴り響く

=繰り返し=
||:Drum höher und höher und höher,
              wir steigen trotz Haß und Hohn.
              Ein jeder Propeller singt surrend (das Lied):
              Wir schützen die Sowjetunion
:||||:だから、高く、高く、そしてより高く
怒りも侮辱も乗り越え
すべてのプロペラが唸る
我らはソビエト連邦を護るのだ:||

2.
Wir reißen hoch die Riesenapparate,
mit festem Griff die Hand das Steuer hält,
so kreiset, wachend über Sowjetstaate,
die erste rote Luftarmee der Welt.
我らは巨大な機械を高く引き上げる
しっかりと腕は操縦桿を握る
そう、旋回し、ソビエト諸国を見守る
世界初の赤色空軍は

=繰り返し=

3.
Ein jeder Atem, jeder unsrer Blicke,
erfüllt ist jede Faser mit Entscheid —
was man uns für ein Ultimatum schicke:
Wir sind zur Antwort jederzeit bereit.
すべての吐息、すべての視線
決意をもった総身を満たす
如何なる者が我らに最後通牒を突き付けようとも
我らは何時でも答える準備あり

=繰り返し=



スターリンの航空行進曲の名で広く知られる"Авиамарш"のドイツ語版です。
この曲は戦間期に作曲されており、そのころの音源も残っています。別名の赤色航空艦隊というタイトルがなんとも戦間期らしさといえるでしょう。
さて、この曲は原曲に沿った歌詞にしようと心掛けています。しかし、その中で非常に面白い点として3番の"Ein jeder Atem, jeder unsrer Blicke"は原曲の"Наш острый взгляд пронзает каждый атом"この部分では視線に当たる"Blicke"と"взгляд"のを含む節の順番がひっくり返っています。
更に面白いことにドイツ語の歌詞では原曲の歌詞の"атом"に対応する"Atom"ではなく、"Atem"を使っています。これは両方の音を似せるための処理です。というのもロシア語ではアクセントのないоはаと発音するという規則があるため、"атом"はカタカナで書くと「アータマ」になります。ではドイツ語はというとそのような規則はないので"Atom"、カタカナでは「アトーム」となり音がずれてしまいます。そこで、"Atem"、カタカナでは「アーテ(タ)ム」の語を当てているわけです。このようにドイツ語版の作者はいろいろやったわけです。

リンク先音源あり